See you! Ford
2016年1月29日 公開
自動車業界トピックス
Koji Yamanaka
TPP後の日本の自動車業界
2015年10月6日 公開
自動車業界トピックス
Koji Yamanaka
たかがシェア。されどシェア。
2015年7月16日 公開
自動車業界トピックス
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さて、ではシェアというのはとにかく大きな数字であればそれでいいのでしょうか。 2015年1-6月の輸入車販売台数ランキングを見てみましょう。 ついにフォルクスワーゲンを抑えて上半期一位を獲得したメルセデスベンツの、「輸入車市場」におけるシェアは22.7%です。さらにBMWまでの上位3ブランドのシェアは59%、BMW MINIまでを含むドイツ系5ブランドの同シェアは、実に77.1%にもなります。 これらの数字になにか意味を持たせることができるでしょうか? ここで登場するのが、アメリカの数学者、B.O.クープマンによって導き出された市場シェア理論です。 これによると、シェアには6つの意味のある目標値が存在するそうです。- 独占的市場シェア:73.9%
「独占的寡占型」と呼ばれ、首位が絶対安全かつ優位独占の状態となる
- 安定的トップシェア:41.7%
実質的に3社以上の争いの場合、41.7%以上のシェアを取れば業界における強者となり、安定した地位を確保できる
- 市場影響シェア:26.1%
この値を上回ると、激戦の競争状況から一歩抜け出した状態となる。市場における優劣を決める境界線。少数による寡占状態ではない市場では、一般にはこのレベルが業界トップであることが多く、シェア2位であったとしても、市場に影響力をもつことが可能となる
- 並列的競争シェア:19.3%
複数企業で拮抗している競争状態の時に多いシェアで、安定的トップの地位をどの企業も得られていない状況。この場合は、市場影響シェアである26.1%を獲得することが各企業の目標となる
- 市場認知シェア:10.9%
生活者において純粋想起がなされるレベルのシェア。そのブランドや商品に対する認知がその市場で認められたともいえる
- 市場存在シェア:6.8%
生活者において、助成想起が可能なレベルです。市場において、かろうじて存在が許されるレベル
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と、ここで終わってしまうかといえばさに非ず。もう少し俯瞰する位置に視点を動かしてみましょう。 そう、輸入車はそれだけで完結する市場ではありません。日本では国産車とも競合しています。 輸入車が日本の新車市場におけるシェアは、なんとたったの6.4%。商用車を含めた場合は5.4%。軽を除いても10%ほどの数値にしかなりません。 これはクープマンの理論に当てはめると、ようやく市場に認知されるか、ギリギリ存在が許される程度のものでしかない、と言えます。 輸入車の各ブランドは、「輸入車市場」という非常に小さい枠の中で自身の立ち位置を見極め、目標を決めるだけでなく、「日本の新車市場」の中でも同様の戦略を立てていかなくてはなりません。 フォルクスワーゲンが軽自動車よりも価格の安い「up!」を販売したり、メルセデスベンツが低価格の「Aクラス」を販売したり、BMWがFFのミニバンの「グランツアラー」を販売する。 シェアのお話を知る前と知った後でこうしたトピックに触れると、インポーターの思惑や苦悩の一部が少し見えてくる気がしませんか? 数字から始まる推理ゲーム。面白いでしょ?Koji Yamanaka
テレマティクスといえば・・・?
2015年6月22日 公開
自動車業界トピックス
K.Yamanaka
自動運転のある世界
2015年5月20日 公開
自動車業界トピックス
(出展:Car Watch http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/20150520_702761.html)
まさに自動運転はこうしたストレスからドライバーを解放するものであり、運転そのものを楽しむことが少ない日本こそ、自動運転にうってつけな環境が整っている、と言いたいようです。 確かにトラックによる物流がいきわたり、地方では公共交通のサービス維持に苦労し、少子高齢化でトラックやバスの運転手確保に苦労している今の日本において、自動運転技術の導入はメリットが多いと言えるのではないでしょうか。一方、自動運転が普及することはまさにパラダイムシフトとも言える大きな変化を社会にもたらすことが別の記事で提示されていたのを見つけました。
自動運転車で失業するのは運転手だけ、と思うのは甘い(GIZMODO)
もし車が完全に自動運転できる世界が来たら。 保有すること自体を目的(=ステータス、趣味)としたごく一部の車を除き、全てのクルマは社会の共有インフラになってしまう、という予測が提示されています。 鉄道やバスのように駅や停留所まで行かなくても、ドアtoドアで人や荷物を運んでくれる自動運転車のサービスが登場すれば、高い維持費や初期投資をしてまで車を保有したいと思う人は(そのコストに見合う所有理由や意欲がある人を除き)いなくなるでしょう。 ますます都市部に人口が集中する中で、その都市に占める道路や駐車場のスペースは有限です。いずれ車の保有台数にはリミットがかけられます。香港など国土の狭い国や都市では、ナンバープレートに高い税金をかけて車の保有を制限する仕組みがすでにあります。自動運転技術は、そうした動きにさらに拍車をかけるでしょう。 そこで問題となるのが、「自動車を沢山作って沢山売る」ことで利益を出している自動車メーカーの立ち位置です。 総数としての自動車の台数は減るわけですから、彼らのビジネスモデルはいずれ破たんします。最初は安全のため、商品としての魅力向上の為の自動運転技術や機能が、回り回って自分の首を絞めることになる・・・ 必ずこうなるとは言えませんし、世界的に見れば自動運転技術にそぐわない道路や国の方が多いわけですが、主要マーケットである先進国や新興国は急速に自動運転技術を持った車が普及することになるでしょうから、早い遅いの程度の差こそあれ、未来図はほぼ固まっているような気がします。 「車は所有しなくても、使うときだけその時間を買えばいい」 機械化やIT化が労働集約型産業の飛躍的な効率化を促したように、自動車の個人(法人)所有が当たり前であることを前提とした様々な産業は、こうした変化への備えをそろそろ考え始めてもいいのかもしれません。Koji Yamanaka
ディーラーにできること
2015年3月30日 公開
自動車業界トピックス
K.Yamanaka
UBERというサービスの先にあるもの
2015年1月6日 公開
自動車業界トピックス
★★★★★★★★★★
タクシー業界(と関係省庁)の力が強い日本では、既存のタクシー業界が同様のサービスにもっと積極的に取り組んでもらうしか望めませんが、もし「ライド・シェア」や「カープーリング」が日本でも浸透してくると、別のポイントに注目する必要が出てくると思います。 すでに身近になりつつある「カーシェアリング」が、個人所有の車にまで範囲が広がるとどうなるでしょう。 http://japan.cnet.com/sp/businesslife/35058565/ 私が一つ気になるのは、こうしたサービスが広まれば広まるほど、「売れる車」はこの手のサービスに適したモデルの割合が増えるだろうし、そもそも車の販売台数も減るのではないだろうか、ということです。 世界的に見ればまだまだ個人所有&自分と家族だけが使う車というのは物凄い数になると思いますが、自動車保有にコストのかかる大都市圏や、公共交通の維持が難しくなっている過疎圏では、この手のサービスは非常に有効に機能するのではないかと思います。 車の低燃費技術が進歩してガソリンスタンドの数が減ったように、車の所有目的が減れば車の販売台数も減る。そんな時代は意外と近くに来ているのかな?なんて想像もできたりするわけです。 http://app-review.jp/news/229139 はてさて、法律や慣習の壁はこの先も安泰なのでしょうか・・・Koji Yamanaka
デッドヒート
2014年10月7日 公開
自動車業界トピックス
Koji Yamanaka
自動車メーカーの不思議なプロモーション
2014年9月26日 公開
自動車業界トピックス
Haruta
国内自動車メーカー2015年3月期第一四半期連結決算雑感
2014年8月6日 公開
自動車業界トピックス
1.売上高(単位:億円) 売上高については、ご覧の通り世界トップを常に争うトヨタがダントツの数字を叩き出しています。比べるべきは海外の有力メーカーであり、国内メーカーと比較するのは失礼かもしれませんね。 注目すべきは日産とホンダの2位グループ。 まず2位グループですが、ホンダは2輪&汎用機事業も含まれた数字です。4輪のみの数字は23,237億円となっており、日産よりもわずかに下になります。なので、この2社は実際にはほぼ横並びと見てよさそうです。
2.4輪世界販売台数(単位:千台) 売上高では大きく差のついたトヨタと日産&ホンダですが、4輪世界販売台数では半分程度の差になります。それだけトヨタが台辺りで大きく稼いでいるといえそうです。 次に気がつくのが、スズキの販売台数の多さ。スズキは古くからインド市場に進出した結果、インドにて確固たる地位を築いています。 なお、日産自動車とホンダとの差は、商品ラインナップの差かな、と思います。商用車やSUV(ピックアップトラック)も幅広く揃える日産自動車に対し、ホンダはそれら商品をほとんど持っていません。
3.営業利益(単位:億円) 売上高ではトヨタとの差を縮めた日産&ホンダでしたが、営業利益では再び圧倒的な差となりました。財務基盤の強さ、コスト低減の徹底度合いなど、単なる規模の差を超えた違いがあるように感じます。 ちなみにホンダと日産との差は、主に2輪事業にあると思われます。2輪事業は単価の低さ故に売上高にはそれほど貢献しませんが、利益率がとても高い事業のようです。4輪の利益率が4.3%であるのに対し、2輪は10.8%と報告されています。 堅調な富士重工とマツダに対し、利益の面で低迷しているのが三菱とダイハツ。前者が各市場で好調なのに対し、三菱は国内が、ダイハツは海外市場での存在感の無さが影響しているように見えます。
4.売上高営業利益率(単位:%) 売上高に対する営業利益の比率を比べてみます。これまでとはがらっと変わったグラフになりました。 北米市場で絶好調=値引き販売しなくてもよい富士重工が非常に良い数値を出しています。好調な市場で高い商品性を維持していることが結果として出ているようです。海外プレミアムブランド並みかもしれませんが、特定の市場への高い依存は、その市場が大きく減速した時にも影響を受けるリスクがあります。 一方、規模の割には低調なのが日産とホンダ。逆に好調なのがマツダというように、海外市場でどれだけ強いポジションを築けているかが影響している印象を受けます。
5.トヨタ自動車雑感 <発表資料はこちら> トヨタ自動車は、市場別の販売台数と営業利益、利益率を資料に掲載しています。以下ざっと転載します。 ・日 本 50万6千台 3,659億円 72.3億円/万台 11.1% ・北 米 71万0千台 1,497億円 21.1億円/万台 6.6% ・欧 州 20万7千台 108億円 5.2億円/万台 1.7% ・アジア 38万5千台 1,103億円 28.6億円/万台 9.2% ・その他 43万3千台 340億円 7.9億円/万台 5.8% ・金 融 820億円 販売台数については、国内及び北米での確固たる地位と、その他地域(中東、アフリカ、豪州等)での存在感が目立ちます。反面、欧州市場での弱さが際立つ他、中国市場がまだまだ十分とはいえないかな、といった印象です。 営業利益については、競争の激しい北米市場や欧州市場や市場規模が小さい地域で十分稼げておらず、国内市場に大きく依存している構図が浮かび上がります。 世界一を競うグローバルな販売台数や、1超円を超える通年の営業利益にばかり目が行きがちですが、収益体制を見た場合、トヨタといえど盤石ではないことがわかります。
6.日産自動車雑感 <発表資料はこちら> 日産自動車は、市場別の販売台数を資料に掲載しています。以下ざっと転載します。 ・日 本 13万4千台 ・北 米 44万6千台 ・欧 州 17万1千台 ・中 国 28万3千台 ・他アジア 20万6千台 ・その他 43万3千台 日産の場合、北米と中国で強いポジションを築きつつあるといえるでしょう。欧州における存在感も、国内メーカーとしては相対的にかなりある方と言えます。 結果、国内市場の弱さと北米依存度の高さが、トヨタとの営業利益の差になっていると言えそうです。
7.ホンダ雑感 <発表資料はこちら> ホンダも、市場別の販売台数と営業利益を資料に掲載しています(4輪のみ。グループ対象)。以下ざっと転載します。 ・日 本 20万2千台 621億円 30.7億円/万台 ・北 米 44万5千台 675億円 15.2億円/万台 ・欧 州 4万0千台 -14億円 - 億円/万台 ・アジア 31万6千台 652億円 20.6億円/万台 ・その他 5万8千台 45億円 7.8億円/万台 ・金 融 518億円 ホンダの場合も弱点は欧州市場です。規模、利益ともに撤退してもおかしくない数字です。反面、その他の地域では主要市場で満遍なく利益をあげており、過度な依存は見られません。 トヨタよりも国内市場で台辺りの利益が少ないのは、軽自動車の占める割合の高さと、販売力の差の影響と思われます。
8.富士重工雑感 <発表資料はこちら> 富士重工は市場別の販売台数と営業利益を資料に掲載しています。以下ざっと転載します。 ・日 本 2万7千台 611億円 226.3億円/万台 ・北 米 12万3千台 163億円 13.3億円/万台 ・欧 州 7千台 68億円(中国、その他含む) 20.0億円/万台 ・中 国 1万6千台 ・その他 2万1千台 販売台数では北米市場に大きく偏っていますが、営業利益では国内市場に強く依存しています。ただ、営業利益については「所在地別」と記載されているため、海外生産の少ない富士重工の場合、海外販売分も国内での売上に計上されているのかもしれません。 ホンダも実は所在地別と資料に記載されていましたが、国内からの輸出よりも現地生産が占める割合がかなり高いため、富士重工のような偏りは出ていないのかもしれません。
9.マツダ雑感 <発表資料はこちら> マツダは市場別の販売台数を資料に掲載しています。以下ざっと転載します。 ・日 本 4万0千台 ・北 米 11万0千台 ・欧 州 5万6千台 ・中 国 4万4千台 ・その他 6万9千台 マツダも北米での割合が高くなっていますが、他メーカーと比べると比較的各市場にばらけていることが分かります。しばらくはこのままの規模を維持して利益を追求する戦略でいくようですが、巨大メーカーに埋没しない独自性と商品性が今後も重要になってきそうです。
10.三菱自動車雑感 <発表資料はこちら> 三菱自動車は市場別の販売台数と営業利益を資料に掲載しています。以下ざっと転載します。 ・日 本 2万7千台 -21億円 - 億円/万台 ・北 米 2万8千台 -22億円 - 億円/万台 ・欧 州 5万2千台 126億円 24.2億円/万台 ・アジア 8万4千台 110億円 13.1億円/万台 ・その他 6万7千台 117億円 17.5億円/万台 三菱自動車の場合、国内と北米市場がかなり酷い状況になっています。国内市場での販売台数は富士重工とほぼ同じながら、営業利益は赤字であり、車を売っても全く儲けが出ていない状態です。 欧州やアジアなどの他の市場は堅調ではありますが、国内と北米で十分な儲けが出せるヒット車種が強く望まれる状況といえそうです。
11.スズキ雑感 <発表資料はこちら> スズキも市場別の販売台数と営業利益を資料に掲載しています。以下ざっと転載します。 ・日 本 16万7千台 308億円 18.4億円/万台 ・欧 州 4万9千台 -26億円 - 億円/万台 ・中 国 7万6千台 199億円(アジア全体) 5.3億円/万台 ・インド 24万5千台 ・東南アジア 5万3千台 ・その他 4万5千台 -5億円 - 億円/万台 スズキは北米市場から最近撤退しており、アジア重視路線をより鮮明にしています。販売台数や売上にもそれはみてとれます。 スズキは早くからインド市場に進出していたことは既に述べましたが、販売台数では既に日本市場を上回っています。ただし、低価格車がまだまだ中心ですから、利益の面では国内市場への依存度は比較的高いといえるでしょう。 国内市場ではダイハツとの軽自動車シェア争いに注目が集まりがちですが、グローバルで見た場合はダイハツよりもかなり先んじているのがスズキです。
12.ダイハツ雑感 <発表資料はこちら> ダイハツは市場別の販売台数を資料に掲載しています。以下ざっと転載します。 ・日 本 16万0千台 ・東南アジア 9万9千台 ダイハツの海外市場へのコミットは非常に限られており、東南アジア(マレーシアとフィリピン)のみのようです。ある意味、スズキの後追いのような形にも見えますが、販売台数、売上高、利益いずれもスズキの1/3~2/3程度に留まっています。 ただし、独力で成長&市場開拓する必要があるスズキに対し、ダイハツはトヨタグループの一員としての役割があります。つまり、国内に限らず海外市場においてもトヨタを補完する立場にあるわけで、単純に売り上げや台数だけで比較するのはあまり意味がないのかもしれません。
以上駆け足で雑感を並べてみましたが、皆さんは各社の決算報告から何が透けて見えたでしょうか。機会があれば、次は海外メーカーについても調べて報告したいと思います。
Koji Yamanaka